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第4部 民業復権の論理(1)

 投稿者:斉藤真一  投稿日:2001年 1月 2日(火)00時29分7秒
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   政府の「商売」を禁止すると、政府は公務資金を市場に投入できなくなる。営利事業に出資も投資も融資も預金もできない。援助も助成も負担も交付もできない。公務資金が自由経済市場への出口を完全にふさがれて滞留する。するとどんなことが起きるだろうか。政府は莫大な滞留資金を抱えて立ち往生する。そこに国民とマスコミの非難が集中する。政府に選択の余地はない。滞留資金は調達元に払い戻すか、減税や福祉の形で市場に返還せざるを得ない。

 政府の財政規模がアレヨアレヨと見る間に収縮する。その額(政府資本支出)およそ年間45兆円。これがそっくり民間経済にシフトする。なんのことはない、政府が牛耳っていた資金が民業の手元に戻るだけのことだ。官公発注も国債も地方債も収縮して民業発注がみるみるうちに増大する。民業が活力を取り戻す。公共事業と過大な借金に依存してきた偽物(にせもの)の景気が姿を消して、本物(ほんもの)の景気が浮上する。

 「民官サンピンの法則」も動き出す。これは新進エコノミストたちの造語で「民官3/1の法則」と書く。政府が握る金を民業が握れば3倍の働きをするという意味だ。それはそうだろう。独創力においても、進取の気性においても、自腹を切る覚悟においても、政府と民業では比べものにならない。税金でメシ食う人種と身体を張ってメシの種を追いかける人種では、物事に取り組む姿勢が根本から違うのだ。

 ここで、民業者と公務員の勢力図を見ておこう。総人口1億2,600万人、うち就業者人口6,500万人、うち民業者人口5,940万人、公務員人口560万人(国家公務員・地方公務員・特殊法人・地方公営企業準公務員)である。総人口を2分すると、民業者とその扶養家族が約1億1,500万人、公務員とその扶養家族が約1,100万人ということになる。

 稼ぐ者がいるから家族の暮らしが成り立っており、稼ぐ者がいるから国家の生計が成り立っている。国民が食べていけるのは民業者が稼いでいるからである。5,940万人の民業者が自分の家族1億1,500万人と公務員の家族1,100万人を養っている。民業が国家のオーナーたる所以(ゆえん)だ。まずこのことをしっかり記憶しておきたい。

 「公務員もちゃんと稼いで税金を払って国家の生計を支えているではないか」と、国民の誰もが思っていることだろう。ところが実は、この認識は根本的に間違っている。この国民的錯覚は民業復権を左右する重要ポイントなので、ここでチェックしておこう。一度気付いてしまえばなんでもないことである。

 第1部末尾で述べた「政府と民業の基本的な関係」をもう一度確認してみよう。「民業は自由経済市場で商売に従事して所得を稼ぎ出して国民生活を賄うとともに、税金を拠出して政府の財政を賄う。政府は預かった税金の中からおのれの食い扶持を頂戴して、残りを公共需要に振り当てる」。つまり、民業者の「稼ぎ」が国民所得のすべてである。公務員も「働いて」はいるが1円も「稼いで」はいない。民業者が与える税金を「消費」しているだけである。

 「公務員は働くべし。稼ぐべからず」――それが「公務」というものである。「公務」のために雇用した公務員が、民業の縄張りである自由経済市場にのこのこと出張って来て、税金を元手にして「商売」することはまかりならぬということである。「稼ぐな。公務に専念しろ。その代わり食い扶持は民業が与える」ということなのだ。

 民業者を主人、公務員を専業主婦に置き換えてみることもできよう。主人も妻もともに「働いて」いる。妻が働いてくれるお陰で主人は「稼ぎ」に出ることができる。主人は給料を持って帰って妻に渡し、妻はその金で家計を切り盛りする。主人が倒れたら家計は崩壊するが、妻が倒れても家計は崩壊しない。(妻の補充は困難だが公務員の補充は簡単)。
 

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