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第2部 政府が民業を侵略する(1)

 投稿者:斉藤真一  投稿日:2001年 1月 2日(火)00時44分27秒
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   しかるに、今日、国民と国家に対して指揮権を振るうのは誰かと見れば、それは議員と役人で組織する政府である。オーナーの財布に寄生する下々(しもじも)の用人たちがオーナーに対して指揮権を振るう。この逆転現象はいったいどこから生じるのか。その要因をチェックしておこう。

 人口が少ない頃はゆとりの時代だった。民業者は常に国家と一体で、しばしば寄り集まっては会議を開き、互いの意志を集約して政府を監督していた。ところが、人口が増えると競争の時代になり、民業者は商売のことで手一杯になり、国家のことを構っている余裕がなくなった。たまに寄り集まってみても、参加者が多過ぎて互いの意志を集約することさえ困難になった。こうして人口が増えれば増えるほど民業者の意志は分散し、政府を監督する手段を失っていった。

 一方、公務員は食い扶持の心配がないので競争する必要がなく、安心して公務に専念できた。暇さえあれば会議を開いて互いの意志を集約し、ますます結束を固めるようになった。おまけに人口が増えれば増えるほど手元に集まる税金は巨額になり、「公共需要」に応えるための公共事業発注額がどんどん膨らんだ。

 すると、自由経済市場に異変が起きた。これまで民間需要を追っていた民業大手が一斉に公共需要に向けて商売の舵を切ったのである。彼らは公共事業に群がって互いに受注を競い合うようになった。そして産業構造が次第に公共事業依存体質に変貌し、ついには公共事業がなければ経済が成り立たないほど虚弱体質になった。かつて大地に足を踏みしめて自立していた民業の面影はなく、議員や役人にもみ手で擦り寄って仕事を分けてもらうさもしい商人に自らなり下がっていった。

 その中で政府要人とつながって大口受注に成功して財をなす業者は「豪商」と呼ばれて尊敬の的となった。受注にあぶれた弱小民業は豪商の下に群がって下請けの仕事にありついた。かくして政府―豪商―弱小民業の産業構造が出来上がり、政府は公共事業発注の元締めとして民業を配下に治めることとなった。
 

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