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宇部興産 − 今通期も予想増額、バイオエタノール関連特需や液晶向けに要注目
宇部興産の今2008年3月期は、会社計画の営業利益450億円が上ぶれる可能性がある。07年9月中間期に関しては8月3日に会社側計画が上方修正されたが、通期に関して、会社側は5月10日時点の期初計画を据え置いている。ただしカプロラクタムや合成ゴムの好調、医薬品原体・中間体の出荷前倒しという動向をふまえれば会社側計画円を超過達成する公算が大きい。
増額予想の要因として3点ほど挙げられる。
同社は、アンモニア・硫黄・シクロヘキサンを化学反応させ、ナイロン6繊維・樹脂の原料であるカプロラクタムを生産している。目的の生成物であるカプロラクタムを1トン分生産すると、硫安つまり硫化アンモニアが4トン分も副成されてしまう。住友化学のように「硫安を副成しないですむ製法技術」を誇る企業があることからもうかがえるように、従来は副成硫安は「余計もの」扱いされがちだった。ところが今やその副成硫安が引っ張りだこ。実は、米国が普及の旗振り役を務めるガソリン添加用バイオエタノールの原料トウモロコシ栽培のため、世界中で硫安肥料の需給逼迫そして市況高騰が生じているのだ。宇部興産はカプロラクタムを日本・タイ・スペインで生産、日本製の副成硫安は国内向けを全農を通じて販売、国内で販売しきれない分は商社を通じ輸出している。農業国であるタイとスペインではいずれも現地製品が「完売」するほどの人気だ。
バイオエタノール関連「特需」を享受している製品は、ほかにもある。アルコール脱水膜だ。宇部興産は独自のビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)をジアミンと縮重合させ、高温下でも物理的・機械的・電気的な安定性を示す超耐熱性ポリイミドを生産している。それを中空糸へ加工し、たとえば油井・ガス田・炭鉱・化学プラント防爆用の窒素ガス分離膜など機能性材料へ応用している。そうしたポリイミド中空糸膜の一種で、バイオエタノール精製プラントへ納入するアルコール脱水膜が需要好調なのだ。
またポリイミドをフィルムへ加工し、電子部品の基材や基板としたのが電子情報材料である「ユーピレックス」。もともと集積回路の自動実装方式(TAB)用テープ分野では液晶表示装置向けもプラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)向けも総じて市場シェア90%と圧倒的だ。ただPDP向けは超耐熱性の特長を生かしやすい自動実装方式用テープ分野に重点が置かれ、一方で液晶表示装置向けは大型化・高精細化・薄膜化へ対応できるチップ・オン・フィルム(COF)分野へ重点が移行してきた。あいにく現在PDP向けは低調だが、10月に完成するポリイミドフィルム第9期製造設備は液晶表示装置向けであるため、業績寄与が期待できるというわけだ。
なお1897年発祥のため今2007年は110周年に当たるが、記念配ではなく普通増配となる可能性のほうが高いと予想する。
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